それはきっと、君に恋をする奇跡。



「……陽菜……やっと会えたな……」



会うのははじめてなのに、はじめて会った気がしない。

家族に会ったような嬉しい気持ちになった。



遥輝と陽菜のことを考えながら後をつけていると、陽菜が鼻歌を歌い出す。



……遥輝との再会を待ちわびてあんなにはしゃいでんのか?


遥輝がいないって知ったら、この笑みは消えちまうのか……?



胸を痛めながらも。


プッ。

思わず笑いが漏れた。


鼻歌の音程狂ってるし。


愛嬌があって明るい子なんだな。


遥輝から聞いていた通りだ。



───と、突然。


陽菜がスキップをして進む速度が落ちる。


俺も慌てて速度を緩めたが、急に回転してバランスを崩すから。



「いてっ!」



俺の方へ倒れ込んできたのだ。



ヤベッ……。

いきなり接触しちまった。



「ごっ、ごめんなさいっ!」



入学後、どんなタイミングで陽菜と接触すればいいのかが悩みだったのに、こんなに早く会話することになり半分焦っていた。

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