それはきっと、君に恋をする奇跡。


あたしは目に溜まった涙を全部落として。



「ハル……くんっ……!」
 


今できる、最高の笑顔を作った。


ハルくんと笑い合っていた頃のように。

楽しかったハルくんとの日々だけを思い返しながら。



ハルくんは、あたしを見つめてうれしそうに微笑んだ。


やがて、握った手の力がどんどん弱くなっていく。



……やだ……

もっともっと話したいこと沢山あるのに……



だけど。




「遥輝ぃぃぃぃっ……!!!!!!」



蒼の呼びかけを最後に。




ハルくんは


ゆっくり、瞳を閉じた。





ハルくんの頑張りに、幕が下りた瞬間だった。
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