それはきっと、君に恋をする奇跡。


***




「突然お邪魔しちゃってごめんね」


「いえ……」



今日、菜々さんが家に訪ねてきた。


もう初七日が終わったのだと教えてくれて、ハルくんが亡くなって1週間が過ぎていたことを知る。



「遥輝の葬儀に来てくれてどうもありがとう。バタバタしていて、ちゃんと挨拶も出来ずにごめんなさい」


「そんなっ、とんでもないです」



一日中部屋着でいるし、髪もボサボサ。


突然の来客に、あたしは慌てて着替えて髪は手くしで整えた。


そんな取り繕いは菜々さんにはすぐ見抜かれてしまって。



「陽菜ちゃんも、やっぱりまだダメよね」



そう言って、悲しそうな笑みを浮かべた。



「え……?」



……も……って。


あ、そうか。

蒼のことか……。


ハルくんを亡くした悲しみと同時に、蒼のことを思うと苦しさが増した。



「遥輝、ほんとうに陽菜ちゃんのことが好きだったのね……」



改めて菜々さんからハルくんの気持ちを聞かされて、あたしは口元に小さく笑みを作る。



「あの日、陽菜ちゃんたちが来てくれる前に危篤になって、意識があるうちに……って、私達家族は先にお別れをしたの……」


「そう……だったんですか……」
< 364 / 392 >

この作品をシェア

pagetop