【第一章】狂気の王と永遠の愛(接吻)を
"……だ、れ……?"

かろうじて声を振り絞るも、目を閉じていてもわかる……少女はこの光に覚えがあった。

やがてうっすらと開いた闇の中の少女の瞳。
弱々しく開かれたその瞳へ金髪の青年の姿がうつしだされると――

"……また、お会いできるなんて……"

"……夢を見ている、みたい……"

幸せそうに微笑んだ少女の瞳からは大粒の涙が零れおちるが、どうやら彼女は誰かと勘違いしているようだ。

『…………』

"……もう私は死んでいるのです"

"最後に貴方に会えただけで、もう……"

『……死者は夢など見ぬ……』

"もう、いいんです……"

安らかな笑顔を見せる少女。
しかし――

『……もうひとり中に誰かいるな』

青年の射抜くような眼差しに"もうひとり"は応えた。

"まだ……死にたくない……"

弱々しい幼い声が響いた。

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