GAME
「とっとりあえず逃げんぞ!!」

浩太が呆然と立ち尽くす私の腕を掴んだ。



私たち5人は取り合えず生徒玄関から向かって左にある特別棟に繋がる階段をかけ上がった。


「ど、どうする!?どこに逃げよう...!!」

萌花がパニック気味に言う。

「まだ1分も経ってねぇだろ、このまま散るぞ」


浩太が言った。



そして一斉に他の皆がバラバラに隠れた。


田中くんは階段を上ってすぐの音楽室に、
萌花は特別棟の廊下の突き当たりにある第一音楽室に、
空くんは2階の普通棟に向かった。


咄嗟に動けなかった私は浩太に手を引っ張られて普通棟に向かった。




「浩太っどこに隠れるのっ!?」


「っ取り合えず3階だ!!」




そう言って私たちは普通棟にある階段を上った。




そして普通棟と、特別棟を繋ぐ渡り廊下の直ぐ隣の教室に入った。

「はぁっ...はぁ...っ」

「杏、大丈夫か...」



浩太が思いきり走って息が上がった私の背中を優しくさすってくれる。

「う、うん」


「そうか」




そのあと私たちは時間を確認して、まだ2、3分あることを確認して何か武器になりそうな物を探す。



「チッ...なんもねぇな...。調理室とかに言った方が良かったかぁ?」


確かに、調理室には包丁なんかがある。だけど調理室がある場所は生徒玄関から向かって左に行ったら直ぐの所だ。近ければ直ぐに見つかってしまうだろう。




「調理室は鬼に見つかっちゃうかもしれないから...逆に危ないかも...」

「それもそうだな...しっかしよぉ...アイツら本当に殺す気なのか?そんなこと出来んのか...?」




「...わ、わかんない...」




”殺す”この言葉がこんなにも恐ろしく感じたのは初めてだった。
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