会いたい

女性は、席について落ち着くとバックから手帳を取り出した。

手帳を開くと中から、ヒラっと何かが落ちた。

「あっ、すみません」

MAKIDAIの足元に落ちた為、女性が慌てる。

MAKIDAIが手を伸ばしてそれを拾うと、

「あっ、これ…」

女性が落としたのはなんとMAKIDAIの写真だった。

しかも、サイン入りTシャツと一緒に写ったものだった。



女性は少し恥ずかしいそうに写真を受け取りつつ、またMAKIDAIの顔をじっと見た。

「あの…、もしかして…MAKIDAIさんですか？」

女性が恐る恐る尋ねた。

「あ、分かっちゃいました？そうですよね、この写真持ってるってことは」

「そうです。本当にMAKIDAIさんですよね。えーっ、夢じゃないですよね？わぁ、信じられない！」

女性は、周りに気を使って小声で話てはいるがかなり興奮しているようだ。

「私、MAKIDAIさんのファンです。この写真もTシャツも大事にしてますっ」

「そうなんだぁ。これって抽選で当たったやつだよね。えー、当たった本人に会えるなんて、初めてかな。マジ嬉しいなぁ」

「私も超嬉しいです。すごい、隣に座れるなんて、奇跡です」

「そっか、楓さんだね」

MAKIDAIは写真を見て名前を確認した。

「は、は、はい、楓です。やだ、生声で名前呼んで貰えるなんて」

「名前呼ぶだけ喜んで貰えるなら、何回でも呼びますよ、楓さん」

「あ、はいっ。あの、あの、嬉しい過ぎて、心臓が…口から飛び出しそうです！」