・TimeLetter『DEAR』

十年ぶりに会った葉山君からの食事の誘いに、驚いた私は意味も無く周囲をキョロキョロと見渡してしまう。
そんな私の反応を見て、葉山君はやっぱり笑っている。



「瀬戸川以外に誰がいるんだよ。どうなの?」

「あ、は……い」

「よし。じゃあ、外のポスト前で待っててくれる? 着替えてくるから」


葉山君は軽く右手を挙げ、また窓口へ戻り。
そのまま同僚の局員さん達に挨拶を済ませながら、奥の部屋へと姿を消した。


座っていたソファを立ち上がり、身を屈めながら郵便局の出口へと向かう。
ここには同級生なんて居ないのだから、葉山君と食事に行くことになったからといって小さくなることは無いはずなのに。
葉山君の職場の方達の視線が私に向いているような感じがしてしまい。
なんだか恥ずかしくなり、気配を消すように郵便局を後にした。


オレンジ色だった街が、いつしか色を変え。
街灯の明るさと道路を走る車のライトが眩しく私を照らしている。

赤く四角いポストは、葉山君と私の待ち合わせ場所。

なんだかウキウキしている様なフワフワした様な気持ちなのは、十年ぶりに葉山君と会えたからなのか。
それとも、これから葉山君と食事に行くからなのか。
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