私の最後の愛

再び目を開けると路地裏は明るくなっていた。

立ち上がると関節が痛くて、身体も熱っぽい。
自分の額に手を当てると熱い熱が伝わってくる。

(これ、結構熱ある...。マン喫戻ろうかな)
しばらく外で寝ていた私は風邪をひいたんだろう。

路地裏から出てビルの間から繁華街を見るといつもよりザワザワしていた。
一際うるさいところには人垣ができていた。

人垣の間から一瞬見えたのは 黒 の人。
(またあいつらか。けど今日はいつもの人じゃない?)
そんなことを思っていたら、人垣の真ん中の人達が動き出した。
(ヤバい、逃げないと。)
私は路地裏に戻って奥まで行った。
一回振り返ると、ビルの隙間からあの人たちがこっちを見ていた。
黒服たちの中でも一際目立っている人が、スマホを耳にしてこっちを見ている。
一瞬目が合ってしまって、そこからは振り返らずひたすら走った。
「......つっ、はっぁはっ...つっ」
< 15 / 155 >

この作品をシェア

pagetop