君の中で世界は廻る〜俺様ドクターの唯一の憂い〜



年明けの最初の診療日ということで、病院を訪れる人はほとんど年始の挨拶に来る人ばかりだった。
院長夫妻も午前で病院での用事を済ませ、午後からは自宅へ戻った。

流人ときゆはいつものように二人になり、でも、この病院での二人っきりが懐かしいような甘酸っぱいようなそんな不思議な気分になっていた。


「これからは、この二人の時間を大事にしなきゃね。
今までは二人が当たり前だったけど、今日からはそうじゃなくなったから」


きゆは久しぶりにかぶるナースキャップが凄く可愛かった。
今までは邪魔とか暑いとか言ってかぶらないことが多く、流人はその度に残念がった。
でも、今日は、きゆに言わせれば時代錯誤の看護婦さんになっている。流人は何度見ても、きゆのその姿にはそそられた。


「きゆ、きゆは何でそんなに可愛いんだ?」


きゆは照れ笑いして可愛いらしいポーズをとる。


「きゆ、ちょっとここに来て」


流人は自分が座っている椅子の近くに丸椅子を持ってきて、その椅子の座面をポンポンと叩いた。
きゆがその椅子に座るとすぐに、流人はきゆの手を握りしめる。


「きゆ、聞いてほしいことがある…」


きゆは流人の切羽詰まった顔を見て、胸がざわつくのを感じた。


「俺、来週には東京へ帰ることにしたんだ。

急だけど……」




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