HEAVEN ROAD
豊、答えてよ。



豊だって有田が大切でしょ?



有田が心配でしょ?



有田に会いたいよね?



有田の声が聞きたくねぇのかよ!!



あたしは豊の腕を振り払い、走ろうとした。



「カナ!!」



でも、豊の大きな声に体が大きく揺れる。



病院の廊下は声が響く。



豊の声が耳に残って離れない。



こんな時にだけ名前で呼ぶなよな。



「約束しただろ?喧嘩しても、何があっても一人で出歩かないって」



「わかってるよ」



あたしは仕方なく、豊の後ろをついて歩いた。



豊が呼び止めてくれなかったら、あたしはそのまま走り出していた。



恐怖なんて頭の片隅にもなくなって、ただがむしゃらに走り続けていた。



心の中の悲しみや寂しさを消したくて。
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