HEAVEN ROAD
「俺達が勝ったらこの子はもらうからな。それが付け加えておきたい条件だ。ウチの奴がどうしてもこの女を欲しいみたいでな」



ジュンが振り返った先には宗がいる。



そして、宗を見つけた豊の顔は物凄い表情に……



「お喋りはここまでだ」



豊がそう言い、咥えていた煙草を乱暴に床に放り投げた瞬間、あたしの体は突き飛ばされる。



そして、駆け寄る両チーム。



赤い火花が床にぶつかり弾ける様子があたしの目にはスローモーションのように見えていた。



突き飛ばされて尻餅をついたまま、目の前で起こっていることが現実の世界で起きていることだとは到底思えない。



人と人がぶつかり合う鈍い音。



殴りつける多くの拳。



そして、飛び散る赤い血。



すべてがゆっくりとあたしの目の前を通り過ぎていくように見えるんだ。

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