御曹司様のことなんて絶対好きにならない!
「私用メールなんてみんなしてますよ?」

驚きから立ち直った私が反論すると、彼は笑みを深めてうなずいた。

「もちろん、そんな事は分かってるよ。でも規律違反には違いないからね。公にされると困るでしょ?」


そりゃ困る。こんな些細な事、ちょっとした注意で済むだろうが、ボーナス査定には響く。しかも私の事を公にすれば、相手の知恵ちゃんにも類は及ぶのだ。


「たかがランチで脅しってオカシイですよ?」

不機嫌に応えると、坊っちゃまはクスクスと楽しそうに笑いだした。
その笑顔には妖艶さが感じられて、思わず見惚れてしまう。

「だよね。俺もそう思う。でもそれくらい一緒に食事に行きたいんだ。それに、そろそろ分かってもらいたいからね」


分かるって、私は何を分かってないんだろう?


小首を傾げる私には、「外回りのついでに早めに並んでおくから現地集合ね」と告げた坊っちゃまは、ぽんとアタマを撫でてから離れていった。
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