御曹司様のことなんて絶対好きにならない!
「鈴木さん、ありがとうね。こうやってお茶入れてもらうとホッとするよ。特に最近はずっと走り回ってるから、疲れて。やっぱり年かな」

定時近くになってくたびれた様子で帰ってきた尾関さんは、本当にホッとした顔をして出したお茶にお礼を言ってくれる。

「お疲れ様です。私にはこれくらいしか出来ないですから」

ニコリと笑ってオヤツにとおせんべいも置く。尾関さんは甘いものが苦手なので、オヤツは他の2人とは別なものを用意しているのだ。

「いやいや。こういう気遣いとか、ね。本当に嬉しいもんなんだよ」


ありゃ、やっぱり別なオヤツを用意してる事気付いてたか。気にするといけないから、内緒にしてたのになー。


少し照れ臭くて、微妙な笑顔を浮かべたまま座席に戻る。

「あ、そういえば。こないだ鈴木さんが係長に出した資料、あれ役に立ったよ。こういう視点でまとめるなんて凄いって係長も感心してた」


突然出た係長というワードに反応してしまう。
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