太古に一つの薬が回った。
人間以上の力を引き出すという薬。
それを投与された人間は『蟲从(きじゅう)』と呼ばれた。
今の世では、『蟲从』は人間と同じくらいいると報道されていた。

『蟲从』は人間と同じ姿をし、同じ生活を送る。だが、困る事もある。

人よりもある所に優れた所が浮き彫りになり騒ぎになりかねない事。

人は思う。蟲从などいなければイイと。
蟲从は思う。人などいなければイイと。

そんな歪んだ世界の中、人と蟲从が愛し合い生まれた子がいた。そんな者達の事は、蟲人(じゅうじん)と呼ばれた。人でもなく蟲从でもない。蟲从よりも力のコントロールが効き、人の世界で生きる事が可能な新たな人種。だが、生まれる確率は0に等しかった。それは、遺伝子によるものだ。遺伝子の組み換えが上手くいかなければ死んでしまう。母もろとも。危険を冒してまで産むものなど、そして異人を好きになろうとは思わなかった。

0に等しいと言えども産まれた者もいた。その者達で親の元を離れ自ら蟲人だけのグループを作った。
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