この冬が終わる頃
一理あるかも。蒼といると、五つも年上のオバさんといて楽しいのか心配になることがある。特に最近は会うと言ってもお互いの家を行き来してるだけだし、毎回、代り映えしない。

もちろん、それはそれでいいと思う。手料理を振舞い、部屋でまったりしてるだけでも十分幸せだし。でも、そればっかりじゃ蒼には物足りなくないのかな?

蒼が私と同じ会社を辞め、友人達とウェブ制作会社を立ち上げてからは尚更だ。まだまだ小さな会社だから社員も少ないし、その分、忙しいから帰りも遅い。会える時間だって、どんどん少なくなって来ている。

それでも、蒼に対する気持ちは変わらない。蒼はいつも優しいし、素直で甘えん坊で可愛い。かと思えば、努力を惜しまず、起業までしちゃうし、いざという時には男らしい一面も見せる。何より私に向ける笑顔があまりに温かいから、そばにいるだけで癒される。

一方、私にどんな魅力があるのかと言えば、これと言って思いつかない。誰が見てもイケメンの蒼と違い、美人でなければ、特に有能でもセクシーでもない。そもそもこの時点で釣り合わない年上の私を、蒼はどうして選んだんだろう。
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