副社長とふたり暮らし=愛育される日々
力強い口調で放たれる言葉を聞き、メンバーの表情が輝き出すように見えた。

朔也さんのひと言で、皆のやる気が溢れてくるのがわかる。やっぱり、副社長であるこの人の影響力は大きいんだろうな……。

彼の部下とのやり取りを見て、まだ数分だけれど、皆は朔也さんに対して変にかしこまることはないし、かと言って緊張感がないわけでもない。とてもいいバランスの信頼関係が築けていそうだ。

仕事中の姿もやっぱり素敵だな、と思いながら、横目で朔也さんを見ていると、彼は最後にこう締めくくる。


「りらは頑張り屋だから、多少のことではへこたれないと思うが、お手柔らかに頼む。万が一嫌気がさしてモデルを辞められてしまっては困るからな。皆サポートしてやってくれ」


冗談を交え、皆の気を逆立てずに私を気遣ってくれる彼の話し方は、上手いなぁと思った。

さっきの『特技は?』という質問も、私が最初に“キャベツの千切り”と答えるのはわかっていたはず。あれも、少しでも皆と馴染めるようにするために、笑いを取ってくれたのかもしれない。

……というのは考えすぎかもしれないけれど、今この場をとても和やかな雰囲気にしてくれているのは朔也さんだから。

彼に感謝しながら、これからの会議も頑張ろうと、私は改めて気合いを入れていた。



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