その灯火が消えるまで



「………話聞いたなら、分かったでしょ?」


結灯はようやく、しっかりと話し出した。



「私、みんなに知られたくなかったの」



帰って、って。

ふいっ、と顔を背ける。




「………じゃあ俺も結灯に知られたくなかった」


「………え?」




「俺のこと」



向こうを向いた結灯の体が、
わずかに揺れる。



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