その灯火が消えるまで
25
「結灯。連れてきたよ」
「ワンッ!」
「蛍太郎っ!」
4月。
春休みが終わって、俺は高校3年になった。
灯理も、俺たちの高校に合格して、進学した。
結灯は、一人で歩けなくなった。
明らかに痩せた結灯の細い腕からは、
たくさんの管が伸びている。
長くてきれいだった髪の毛は、治療に邪魔にならないように、肩くらいになった。
今日は結灯が蛍太郎に会いたいって言うから、病院に頼み込んで、許可をもらった。
「蛍太郎」
結灯は笑って、前していたように、蛍太郎を抱き締めた。
蛍太郎も、結灯に鼻を擦り付ける。
長い間、結灯はそのままだった。
「………蛍太郎は、私の形見」
「………は?」
突然そんなことを言い放った結灯。