純情シンデレラ
どうしよう!
ここは踏ん張るしかない。
あと2駅だからなんとかなる・・いや、なんとか踏ん張って立たないと!
それくらいのスペースはどうにかあることに、とりあえず感謝しよう。
大体、私はおチビさんだから、あのつり革たちは手が届きにくかったし。
・・・それにしても。こんなにたくさんの人たちが、同じくらいの時刻に一斉に集まって、この辺りにある会社に散らばっていくのかと感心する一方で、朝の通勤ラッシュの社内混雑って、ここまで・・・想像していた以上にすごいとは思ってなかった私は、ただいますし詰め状態の列車内で、前後左右にいるたくさんの人たちにもみくちゃにされながら、必死に踏ん張って立っている状態だ。
3センチでもヒールがあるパンプスを履いているので、いわばつま先立ちと同じような状態。
いい運動にはなるけれど・・・もみくちゃにされてるおかげで、自分がまるでギュウギュウに絞られたヨレヨレの雑巾になったような気がする。
ポニーテールに結った髪だって、きっとあちこちほつれてるに違いない。
かけているメガネが、鼻から少しずり下がったけど、上げるために手を伸ばすことすら、今はできない。
このままメガネが下に落ちてしまったら大変だ!
せめてそうならないよう、陸に上がった魚のように、顔を上げた。

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