純情シンデレラ
いつもは駅から観光がてら歩いて「コロボックル」まで行っている。
私の場合、タクシーや乗用車は怖くて乗れないから・・・。
でも伯父さんたちは、お客さんの送迎サービスをするために、乗用車ではなく、大きめのバンを持っていて、それだと私もかろうじて乗れるのだけれど、私の場合は「お客」というより、「身内」として遊びに行ってる要素の方が強いし。いつもタダで泊めてくれる忙しい伯父さんたちを、あまり煩わせたくないという想いもある。
それに、伯父さんたちも私の車恐怖症の経緯を知っているから、バンならどうにか乗れるけど、乗らなくても行ける距離なら、歩いた方がいいと思っている私の心理を理解してくれている。
そういう事情を抜きにしても、駅からペンションまで、実際歩いて行けない距離じゃないし。
もちろん、車で行くより少々時間はかかるけど、美しい街並みを見ながら、澄んだ空気の中を歩くのは気持ちがいいので、返って私は楽しんでいるくらいだ。
けれど、今日はいつもより多めに荷物を持ってきているだろうからと、駅に迎えを寄越してくれると聞いていたので、私は涼里駅に着く時間を、事前に知らせていた。

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