恋の音はすぐそばに

サンカヨウ

「天音、そんなに落ち込まなくても…」


「…おちこんでないもん」


「じゃあ、なんで元気ないの」


「…げんきあるもん」


「はいはい。…もぉ、雨だからって暗くならないの!」


そう、私がこうなっているのはこの雨のせい。


雨が振ってるせいで中庭がぐちゃぐちゃ。


空き教室に行ったところで、菜緒先輩はそこにはいないのだ。


自然だから仕方ないってわかってるけど…。


学年が違って会えないからこそ、昼休みは唯一先輩と会える大切な時間だったのに…。


「はぁ…」


「ため息つくと幸せ逃げるよ〜」


「っ?!」


この声!!


勢いよく振り向くと、ニコニコ顔の菜緒先輩がいた。


…これは夢でしょうか。


ほっぺをつねってみると。


「いふぁい」


夢じゃない!!


でもどうしたんだろう?


昼休みにきたことはないのに。


「それは痛いよ」


あ、苦笑いになった。


先輩と友達になってから、いろんな先輩の表情を知ることが出来た。


嬉しいなぁ…。



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