【完】最後の恋
冷たい雨
昨日の桜田の言葉を思い出すと、会社に行きにくい…。
それでも、行かない訳にはいかなくて、重い足取りで会社に向かう。
『今日、頑張ったら明日は休みだから頑張ろう』
と気合いを入れて。
昨日の事は気にしないで仕事しよう、そう自分に言い聞かせながら出勤した。
いつもと変わらない挨拶、いつもと変わらない忙しさ。
桜田にも普通にいつもと変わらない対応をしていた。
「星川さん」
桜田に呼ばれて席に向かう。
「プレゼンの準備は大丈夫ですか」
『はい、準備は出来てます。
後は最後のチェックだけです』
「書類出来たら、僕の所に」
『はい、分かりました。
夕方までには』
とこんな感じでいつもと変わりなく
こんなアキと桜田を見て、ゆいは逆に何かあったのだと直感した。
これはゆいだから分かるのだろう。
他の人には絶対に分からないアキの表情なのだ。
アキ本人すら気づいていないだろう。