桜龍

昔の知り合い

――ガラッ

「いっらっしゃい!」

お店の中から声が聞こえた

「いつもんとこ空いてるから」

馴染みって言ってたからか…

「こんばんわ、湊人(みなと)さん」

涼がきちんと挨拶してた

「おー…って、後ろの子は?」

涼の後ろにいたあたしにも、気づいたお店の人

「あぁ、これから守ることになった子なんですよ、紘ちゃん」

涼が、少しズレたことによりお店の人の顔が見えた

『こんばんわ』

「えっ…紘…」

えっ!なんで、あたしの名前

下を向いていた目線を前に戻す

『…みなくん』



ポツリとすんなりと出てきた

「えっ!紘なのか!」

驚いて近づいてきた

『うん、みなくん久しぶり』

あたし自身も驚いているが、よく考えれば分かることだ

たっくんがこの地域にいるなら、どう考えてもたっくんを慕ってた人は付いてくるだろう…

海堂 湊人(かいどう みなと) 24歳

「久しぶりだな、紘」

懐かしむようにあたしを見るみなくん

『みなくんがいるなら、いるよね?』

チラリと奥の方を見た

「ははは!察しの通りだ!」

だよね…うん、わかってたことだよ

「少し待ってろ!呼んでくる!」

『ちょっ!呼ばんでいいから!』

言い終わる前に奥に消えていったみなくん

ひぇー大変になるわ…

「紘ちゃん」

うん、振り返らなくも言いたいことは分かるよ

『ちゃんと説明はする!けど、その前に』

ドダダダダ

『これを対処してから!』

あたしに向かって物凄い勢いで向かってくる何かが見える

「紘ー!」

これは、ヤバい

『待て!』

ズザザザ

よし!突進を回避だ

『久しぶり、けいちゃん』

安藤 圭哉 (あんどう けいや)23歳

みなくんの弟みたいな存在だ・・・

「あぁ、本当何年ぶりだ?」

確かにね、そこは同感する

が、

『ねぇ、けいちゃん』

優しい声音で言うあたしを見たけいちゃんは、一瞬嬉しそうに顔を綻ばせたがすぐに震えだした

「あの、ひ、紘…さん…」

『ん?』

笑顔は崩してないが、きっとけいちゃんには

「紘さん、後ろに何かが見えるのですが…」

『後ろ?涼がいるよ!』

笑顔なんだけど、けいちゃんの顔は恐怖に怯えている顔に変わっていくのがだれでも分かる

「いや、そうでなはなくてですね・・・」

「ははは!さすがに怒るわな!」

笑いながら奥から出てきたみなくん

『とりあえず、あたしの質問に答えて』

「はい…」

ケラケラ笑ってるみなくんとは、正反対のけいちゃん

『いつ戻ってきたのかな?』

「…5年前です」

『どうして、連絡くれなかったのかな?』

「…俺は、紘に会うべきじゃないと思ったから」

会うべきじゃないね…

『それは、けいちゃんが決めていいことじゃないよね?』

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