桜龍

ゆうの過去

小さい男の子があたしに向かって飛びついてきた

えっ!

『ゆうくん?』

「ママー!」

えっ!マジで!!

「おっ!さすがだな、紘!」

『ゆうくん、久しぶりー!』

ぎゅっと抱きしめた

ゆうくんも嬉しそうにしてくれてた

神咲 侑斗(かんざき ゆうと)4歳

「ゆうは、店の看板みたいなもんだぜ!ゆう目当てでくる客とかいるしな!」

キシシって笑ってるけど

『子供に何させてんのさっ!』

みなくん、この店の亭主なんでしょう?

「いーじゃねぇか、危ねぇことはさせてねぇし!」

『そうゆう問題じゃないでしょう!ゆうくんの好きに生きさせてあげなよ…』

「いや、ゆうが手伝うっつったんだよ、俺が言ったわけじゃねぇよ」

えっ!

『ゆうくんが?』

「あぁ、ゆうが言った」

ゆうくんが顔をあげてあたしを見ている

『ゆうくん、お手伝い楽しい?』

ゆうくんは、すぐ笑顔になって

「うん、この前みなくん、作るの教えてくれた」

『まぁ、ゆうくんが楽しいならいっか…』

みなくんは、ホッとしている

『まさか、キレるとでも思った?』

いたずらっ子の笑みを浮かべれば

「あぁ、久々に背筋が凍ったよ」

ふふふ、まぁ、無理矢理だったらキレてたね、確実にね…

でも、

『ゆうくんが楽しいならそれは、ゆうくんの自由だし好きにすればいいよ』

「とりあえず、ゆうと会えたのは紘は嬉しいだろうが…」

みなくんがバツの悪そうな顔をしている

「俺がここにいる時点でもう一人わかるよな…」

みなくんがいると、けいちゃん以外にもう一人…

ん?確か、けいちゃんってお姉さんいたよね?

あたしにとっても、関係のある人が…

『ま、待って…まさか…』

みなくん、嘘だと…

「たぶん、紘が思ってる人が正解だ…」

『うそでしょ!なんで!!』

待って、あたし危険じゃ…

「いや、逃げてももう遅い…もう、来るぞ…」

なに、自分には被害がないからってサラリと言っちゃってんの!

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