こじれた恋の終わらせ方
水野とは同じ中学だった。


でも、顔良し、頭良し、運動神経良し。校内のカーストにおいて頂点グループに属する彼と、部活一筋でそもそもそのカーストを横から『大変そうだなぁ』と眺めてる私とでは住む世界が違った。


話したことなど一度もなかった。だから、同じ高校に通うことになってもそれは変わらなかった。





そんなある私が日直だった日、ゴミ捨て場にゴミを持っていく途中のことだった。


「水野君、私と付き合ってくれない?」


その声に私は足を止めた。

声の方を見ると、美人で評判の先輩と水野が立っていた。


「あれ?先輩、彼氏いませんでしたっけ?」



「あぁ、あれはただのお友達よ。

 まぁ、水野君もお友達でもいいのよ?」



先輩の言うお友達は、きっと私の思うお友達とは違うなと直感で思った。

だって先輩、水野の腕に胸押し当ててるし。



「あー俺、そういうの遠慮しときます。だってそんなことして、妹に嫌われたら困るじゃないですか。」


その場から立ち去ろうとした私は思わず足を止めた。


先輩も固まってる。


「い、妹?」


「そう妹。ちょー可愛いんですよ。写メ見ます?」


「水野君ってそういうキャラだったのね。もういいわ。忘れて。」


そう言って先輩は去って行った。


水野はイケメンなのにあまり浮いた話がなかった。


その理由がわかった。彼は重度のシスコンだったのだ。
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