こじれた恋の終わらせ方
タクシーを拾うために大通りに出た。


「なかなか空車がいないわ。タクシー乗り場まで言った方が早いかな?」



真剣にタクシーを探すのぞみの横で俺はずっと考え事をしていた。



「なぁ、のぞみ。」


「何?」


そう言って俺の方を見たのぞみと視線が合った。



「俺さ、正直、のぞみが言ってたこと自覚ないんだ。でも、やっぱり高校時代俺はお前が好きだったよ。

 確かに、九条とは仲良かったし、ちょっと妹みたいに思ってたことあったけど。

 それでも、好きなのはのぞみだった。


 最初の彼女がのぞみで良かったと思ってる。ありがとな。」



そう言って俺は手を差し出した。


その手をのぞみがとる。



「私も、初めての彼氏が千尋で良かった。そのせいでハードル上がっちゃった気がするけど。」


そう言って笑った。



それからすぐにタクシーを拾ったのぞみと笑顔で別れた。



のぞみから言われたことに自覚はなかったけど、おそらく俺はのぞみの言ったように、のぞみの言われた言葉にとらわれていたんだと思う。そして何度もあった麗華と会う機会を避けていたんだろう。


のぞみが声をかけてくれて良かったと思う。


のぞみのおかげで心のどっかに抱えていたモヤモヤがすっきり無くなった気がする。



今度、九条に会ったときは、今日九条を見て感じた気持ちと向き会おう。そう決心して家路についた。








ただ、この後、思ったより早く九条と再会して、一緒にいる心地よさから関係が壊れるのを恐れて告白できないまま何年も飲み友達として過ごすことになり、それをすごく後悔することになるのはまた次の話。






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