Mysterious Lover
1. はじまりは夜道
コツコツコツ……
わたし、こと沢木奈央のヒールの音が、夜道に頼りなく吸い込まれていく。
線路わき、マンションの建設現場が続く一本道。
ポツリポツリと街灯の明かりが照らすだけのそこは、人の気配が全然なくて、正直、気味悪い。
やっぱり近道すべきじゃなかったかも。
だいたい企画書なんて明日にまわせばよかったよ……今更言っても遅いけど。
わたしはカバンを抱えなおして、足を速めた。
リリリリリリリ……
突然間近で巨大な音が響いて、「ひぇっ」って思わず飛び上がっちゃった。
着信音だって気づいて、ちょっとホッ。
仕事の件かな?
企画書、慌てて出してきたからどっかミスったんじゃ?
ワタワタってカバンからスマホを取り出した。
すると。
うわ、非通知……?
そう表示された画面をわたしはじぃいっと見つめた。
夜道で非通知、なんとも最悪なコラボレーション。
それって絶対取りたくないよね? ……取りたくないけど。
もしも……仕事関係の電話だったらどうする? 来週の撮影の件かも。
何か変更があったのかもしれないし……。
制作スタッフをまとめるのは、編集であるわたしの役目だ。不備があればフォローしなくちゃ。
なんて、自分のイイ子ちゃんぶりにちょっとあきれながら。
わたしは「よしっ」て画面をタップした。
わたし、こと沢木奈央のヒールの音が、夜道に頼りなく吸い込まれていく。
線路わき、マンションの建設現場が続く一本道。
ポツリポツリと街灯の明かりが照らすだけのそこは、人の気配が全然なくて、正直、気味悪い。
やっぱり近道すべきじゃなかったかも。
だいたい企画書なんて明日にまわせばよかったよ……今更言っても遅いけど。
わたしはカバンを抱えなおして、足を速めた。
リリリリリリリ……
突然間近で巨大な音が響いて、「ひぇっ」って思わず飛び上がっちゃった。
着信音だって気づいて、ちょっとホッ。
仕事の件かな?
企画書、慌てて出してきたからどっかミスったんじゃ?
ワタワタってカバンからスマホを取り出した。
すると。
うわ、非通知……?
そう表示された画面をわたしはじぃいっと見つめた。
夜道で非通知、なんとも最悪なコラボレーション。
それって絶対取りたくないよね? ……取りたくないけど。
もしも……仕事関係の電話だったらどうする? 来週の撮影の件かも。
何か変更があったのかもしれないし……。
制作スタッフをまとめるのは、編集であるわたしの役目だ。不備があればフォローしなくちゃ。
なんて、自分のイイ子ちゃんぶりにちょっとあきれながら。
わたしは「よしっ」て画面をタップした。
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