ネガティブ女子とヘタレ男子

天と千秋


「あの日暮人達が帰った後、風深さんを送り届けて家に帰ったんだ。お前、携帯も何もかも俺ん家(ち)に置いたままだったろ?それで、持っていこうとした途中で泣き崩れてるチィを見つけた。」

「っ…。」

苦笑を浮かべてへらへらと笑う。
目は俺を見てるのに、そこに俺は写っていないようだった。

(多分、その時の千秋ちゃんを思い出してるんだと思う。)

自然と眉が下がる天は、いつになく弱々しかった。

「最初は何があったのか分かんなくて、アイツも話さねえし苛ついたけどさ。落ち着かせるついでにお前の家まで歩いてたら話してくれたよ。…告白したらフラれたって。そのあと、風深さんとお前の関係について聞かれた。ざっとしか答えてねえけど、納得してくれたアイツと家のポストにお前の物入れて帰った。って感じかな。」

「それは助かりました。じゃなくて!…怒らねえのかよ…。」

「怒るって?」

話を終え、いつも通りの笑顔に戻る天。俺の問いに本気で首を傾げた天は、次の言葉で顔を真っ赤にして驚いた。

「お前、千秋ちゃんの事好きなんだろ?」

「っ…な、なんで!いや、違う!違うから!」

赤面する天を見るのは、中学からの付き合いでもはじめての事だ。座椅子に腰かけていたはずの天は、驚きすぎて後ろにのけぞったまま倒れていった。ゴンっと鈍い音を響かせて頭を打ちつけた天は、痛がるより先に弁解を始めた。

(こんなカッコ悪い天は始めてみた。)



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