ネガティブ女子とヘタレ男子

天使の羽根


天が戻って、まだ少し元気の無い千秋ちゃん。天がしたように頭を撫でると、俺の行動に驚いた千秋ちゃんは顔を真っ赤にして俺を見上げた。

真っ赤になってパクパクと魚のように口を開け閉めする姿と、風に揺られる髪が尾びれに見えて、ふふと笑いながら空を見上げれば「千秋ちゃんは何となく金魚みたいだね。」なんてらしくないことが口からこぼれていた。

「も、もう…からかわないでほしいな。」

「うん、ごめんね。なんか可愛くてつい。」

「かっ…!か、可愛いなななんて!ないっ、です…!」

「千秋ちゃんは可愛いよ。優しくて、友達思いで、ちゃんと強くて、可愛い。」

「可愛いよ。」と本心から伝えれば、真っ赤にした頬で彼女は悲しそうに笑った。

ーーー『柊くんは、優しいね。』

そんな言葉をつけて。



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