ネガティブ女子とヘタレ男子
幸せな時間

文化祭二日目


爽ちゃんがウェディングドレスを着て二日目。俺たちは二人で一般の出場者発表の会場に来ていた。

「クラスバラバラだけど、いいのかな。」

「大丈夫だよ、さやたん。合同でしちゃいけないなんてルールないもん。何か言われてもマダムキラーなてんちゃんが何とかしてくれるよ。」

「どういう意味かな千秋ちゃんや。」

「えへへっ。」

女子も男子もバラバラに別れており、クラスが書かれた名札さえつけていない俺たちは、急遽生徒会が用意した名前のみ記載されてる名札を付けている。

一年から三年まで並ぶステージの視線を独占するのはやっぱり、俺の隣に居る三人だった。

司会者が何か話してるにも関わらず、三人はキャッキャと話を続けている。その間にも一般客や投票生徒は三人を見続け、もはや司会者の声も届いていないようだった。

前で立つことが苦手な爽ちゃんが、こんなにも綺麗に笑っている。それは初日で、爽ちゃんが少し視野広げたお陰かもしれないな。

あの後教室に戻った俺たちは、すぐ三人の元へ。告白したこと、結果がオッケーだったこと、それらを嬉々として伝えれば驚くと思っていた三人は「知ってた。」と笑った。驚かない三人に呆気に取られたのは俺だけで、爽ちゃんは「ありがとうございました。」と深々と頭を下げていた。

それから五人で、美コンの札を持ちながら練り歩く。二日目も同じなのだが、知名度をあげるためのそれは、この三人にはすでに必要なかった。

その時、結婚式の様に腕を組む俺の袖を、爽ちゃんはそっと引いた。「私を見て、皆笑顔で駆け寄ってきてくれる。」と言う爽ちゃんは嬉しそうだった。

(可愛かったなあ…。)

いつの間にか発表も終わり、四人でステージを下りてタスキをかける。横場は出場しないからとそそくさと女の子達に囲まれて行ったが、やっぱり気になるのかなと爽ちゃんを見やれば、意外と平気そうだった。

爽ちゃんと横場の関係は恋人ではない。だけど、俺には分からない絆が、二人にはあるみたいで…時々送られてくる横場からのメッセージは、「爽の可愛いところベスト10」など、俺の神経を逆撫でしてくるようなものが多かった。



.
< 86 / 95 >

この作品をシェア

pagetop