ネガティブ女子とヘタレ男子
ポジティブ女子とイケメン男子
結果発表
幸せな二日目から一転して、最終日は忙しくなった。生徒も一般客も投票のために朝早くから校門に並んでいる。ソイツラの目的が一年のあの三人だから、登校しても表から学校に入ることが出来ず、急遽職員玄関から入ったらしい。
「おはよう、爽ちゃん。朝から大変だったね。」
「凄い人だったね…私も驚いちゃった。」
三日目でも中々見慣れないウェディングドレスを着た爽ちゃんは、やっぱり可愛くて目のやり場に困る。投票日の今日は、校舎を練り歩く事をしなくていい分、空き教室で話していた。
投票結果は昼過ぎには出るらしい。
優勝すれば金一封。ソレを目的にクラスの奴らも学年で協力して、俺達四人がバラバラになることを許してくれたし。結果残せると良いね。なんて爽ちゃんと話せば、「楽しみだね。」と笑顔で答えてくれた。
色々あった数ヵ月。
それがあったから、今爽ちゃんの笑顔を横で見る事が出来ている。
「ねえ暮くん。弱肉強食って言葉、あるでしょ?」
「うん。」
「私ね、前も言った通り、自分が弱いから強者になりたいって思ってたの。弱肉強食って、そう言うことでしょ?弱いと、食べられちゃう。そんな理不尽な世界だから、強くなりたいって。」
「うん。」
「暮くんといるとね、勇気が持てるんだ。自分に自信が持てる。それって少し、強くなってるよね。」
「うん。」
横に座る爽ちゃんの肩を抱く。ノイズ混じりのスピーカーが、美コンの結果を伝えていた。
「暮くんは、凄いね。」
「爽ちゃんが居るから、俺も強くなれるんだよ。」
顔を見合せ、ゆっくりと顔を近づければ触れそうになる唇。それを大きな声と足音が妨げた。
「さーやたーん!」
「た、千秋ちゃん!」
昨日の途中から顔を見てなかった千秋ちゃんが、爽ちゃんを呼びながら空き教室へドカドカと入ってくる。靡く髪が、走ってきたからか乱れていて、爽ちゃんはすぐ千秋ちゃんへ駆け寄った。
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