私のご主人様

焦っていると、急に鉄格子が消える。

男たちが中に入ってきて、拘束した手足に手を伸ばす。

「ん…」

「ここで全部脱がされたくなかったら大人しくしてろ。いいな、逃げようとしたらここで脱がすからな」

ちらちらと覗かせたのは折り畳み式のナイフ。

必死に頷くと、分かってくれたのかナイフか少しだけ引いた。

片足の拘束が消える。首についた枷に繋がれた鎖を引かれ、引っ張られながら外に出る。

「ついて来い。風呂に入ってもらうだけだ」

「…?」

「せっかくの商品だからな。少しでもきれいにして客の前に出してぇんだよ」

これからなにか始まるの?

昨日檻の外側にいた人たちがみんないない。檻に入れられていた人も、所々で空白がある。

鎖を引かれるまま、連れてこられたのは男たちが言ったようにお風呂のようだった。

一般的な家庭サイズで、脱衣所には脱いだ服を入れるらしいカゴ以外なにもない。
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