密恋(ミツコイ)「イケメンIT社長と、エレベーターの密室で恋をして」
第5章 「最上階より、愛を込めて」

-1-


──ふた月ばかりが過ぎた頃、鷹騰社長から連絡があり、

「彼女とは話をしたから、もうおまえと付き合える」

開口一番に告げられた。

「だから、今日は俺と出かけないか?」

そうしていつもの調子で、矢継ぎ早にまくしたてる。

「……いいですけど、着替える時間を少しもらえますか?」

ほんと、こっちにちっとも余裕をくれないんだからと感じる。

「着替えの時間って、どれくらいだよ?」

電話越しにも関わらず、あきらかな不機嫌さが滲んでいる。

「……待ってくださいって、着替えるのくらい。……いつも言いなりなだけじゃなく、私の言い分もちゃんと聞いてほしいです」

たまには自分の気持ちも言わなきゃと思う。

「ああ、悪い……」

すると、彼がすぐに謝ってきて、

「いつも仕事で時間に追われてるせいで、待ち時間が無駄にも感じるんだよ」

少しだけ弱ったなというようにも話した。

「……あの、この際だから言っておきたいんですけど、」

そう前置いてから、

「いつもそっちのペースだから、せめてプライベートは、仕事とは別で考えてほしいです。

女の人は出かける準備に時間がかかることもあるんで、それぐらいはわかってもらえたらうれしいんですけど……」

ちょっとばかし意見を伝えた。

「ああ、わかったよ。俺は、なんでも急かしすぎだからな。……なるべく、おまえに合わせるようにもするから」

そう言ったあとで、

「だから、責めるなって」

と、彼が電話の向こうで苦笑してるのがわかった。



< 125 / 191 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop