そこの御曹司、ちょっと待ちなさい!
慎吾も、私の本性を知れば、きっと離れていく。

そうはなってほしくない。
それなら、このまま本性を隠し続けるしか選択肢はない。

そもそも人間なんて、多かれ少なかれ、みんなキャラ作って生きてるんじゃないの?


「それでセレブ妻になれるなら、何も苦にならない。
慎吾は私に夢を見てるの。
上手に騙してあげるのが、最低限の礼儀ってものよ」


御曹司の慎吾がほしい私と、偽ゆるふわ系の私が好きな慎吾。

このまま私が猫をかぶりつづければ、利害関係が一致した私たちは二人ともハッピー。


プリンセスに化けた魔女も、最期まで正体を明かさなければ、王子にとっては魔女がプリンセスになる。

王子も幸せ、魔女も幸せ。
 

それの何がいけないの?
それに、最初から王子狙いのプリンセスだって、魔女とそう大して変わらないでしょ? 



計画通り進んでいるし、何も問題はない。


しかしなぜか、真由が良いならそれでいいんじゃないと、冷めた声で言った慎吾には、やけに苛立った。


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