そこの御曹司、ちょっと待ちなさい!
フィレ肉のステーキだとか、何とかのムニエルとか、横文字ばかりで名前は覚えられないけど、とにかく慎吾と一緒じゃないととても味わえないような高級料理を食べ、ワインも少しだけ飲んで気分が良くなった頃。

残すところデザートのみとなり、何気ないことを話していると、急に慎吾がスーツのポケットから小さな黒い箱を取り出し、テーブルの上に置いた。


開けるように促されたので、そっと箱を開けると、中からは予想通り、大粒のダイヤモンドのついた指輪。

その小さな箱を見た時から、なんとなく予想はしていたけど、光輝くダイヤを見た瞬間、やっぱり心臓がドキッとした。


「慎吾、これ......」

「まだ付き合って日は浅いけど、真由を愛してる。
これからも一緒にいよう。
真由さえ良ければ、ずっと」


美味しい料理、静かで雰囲気の良いレストランで夢のような時間。目の前には言葉を失うくらいの夜景が広がっている。

そして相手は、御曹司。
念願のセレブ妻。

 
完璧だ。
完璧過ぎてこわいくらいに、完璧なシチュエーション。
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