拗らせDKの偏った溺愛


そんなことを考えていたからか、少しぼんやりしていたようです。

ハッと気づくと、第一グループの方たちがスタートラインに立ってらっしゃいます。

いよいよ始まります・・・!!

どの競技もそうですが、出場者は各学年、各クラスから参加するので、かなりの人数になります。

この障害物競走も例外ではなく、1回につき12人が同時に参加。

そして、それが4度あります。

要はすべての障害物につき、4回の設置と撤去があるのです。

そのため、黒子役は6班に分かれて仕事を分担しています。

私のいるA班は、ハードルを両脇に1つずつ抱えて4往復、5kgの土嚢を担いで4往復しなくてはなりません。

結構な重労働です。

そういったこともあり、この競技の黒子役は、ほとんどが男子なのですが、今回はそうも言っていられません。

私と代われる方が、たまたまこの競技の黒子役の方だけだったのですから・・・。

そんなわけで、私は必死でした。

入場の時こそ竜也くんの姿を目で追うことができましたが、競技が始まってしまえば竜也くんどころではありません。

とにかく、走ってくる人はもちろん、走り去っていく人も確認しつつ、ハードルを撤去しては土嚢を運び、それが終わったら、またハードルを設置して、大急ぎで土嚢を撤去しに行く、の繰り返しです。

1回目は初めてのことに緊張でいっぱいでした。

2回目にはすでに汗だくでしたし、3回目には息も上がって苦しくなっていました。

そして、やっと迎えた最終回。

これさえ終われば休憩です。

がんばるのよ美咲!と、心の中で自分を叱咤激励しつつスタートを知らせるピストル音を待ち構えました。

< 206 / 251 >

この作品をシェア

pagetop