拗らせDKの偏った溺愛
自覚

美咲



唯一の救いは綾乃ちゃんでした。

みんなにジロジロ見られ、ヒソヒソとささやかれている中を、


「美咲~、お昼ご飯食べよう!」


と誘ってくださったのです。

あぁ、持つべきは親友です!

私はいそいそと自分のお弁当を持つと、綾乃ちゃんと一緒に応援席から離れたところでお昼ご飯を食べることにしたのです。


「ふぅ~、ここまで来れば静かに食事できそうですね」


ホッとして二人でお弁当を広げて食べ始めた時でした。


「美咲ってば、いつのまにリュウくんのお嫁さんになったの?」


綾乃ちゃんのストレートな爆弾発言に食べていたご飯を吹き出しそうになりました。


「ゴホッ!」

「やだ、美咲、大丈夫?」


大丈夫ではなくした張本人に心配そうに覗き込まれてしまいました。


「綾乃ちゃん。どこをどうすれば私が竜也くんのお嫁さんになったと思うんでしょうか?」


綾乃ちゃんだけはわかってくれていると思っていたことが悲しいのか、単にご飯が喉に詰まって苦しいだけなのかわかりませんが、少しだけ目じりに涙が浮かぶのを感じます。

そんな私を見た綾乃ちゃんは、かわいい頬を不満気に膨らませつつ、


「え~、だって、どうみてもリュウくんにとって美咲は特別じゃない?美咲だって、さっきリュウくんに抱きかかえられてたときは”女の子”の顔してたよ?」

「女の子の顔!?」


思っても見ないことを言われてびっくりしてしまいました。


「うん。リュウくんのこと、うっとりした顔で見上げてたもん。おまけに、テントから競技に戻ったリュウくんを見つめる美咲の顔ってば、完全に恋する乙女だったよ?」

「こ、恋する乙女!!??わ、私が誰に恋してると・・・」

「そんなのリュウくんに決まってるじゃない」


驚いて慌てふためく私を前に、ごく冷静に綾乃ちゃんが爆弾発言を連発されます。


「そ、そんなことないです!こ、恋って、私が竜也くんを好きってことですか!?ない!!そんなことありえません!!」


とにかく必死に否定しました。

どこがどうなれば、私が竜也くんを好きだということになるんでしょうか!!
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