拗らせDKの偏った溺愛



そ〜っと生徒の波に紛れて2年3組の教室を目指していると、教室のドアの手前で綾乃ちゃんの後ろ姿を見つけました。

さっきは無我夢中だったので、綾乃ちゃんに何も言わずに姿を消してしまいました。

おまけに始業式にも行かなかったのです。

きっと心配させてしまったに違いありません。


大急ぎで綾乃ちゃんを呼び止めようとしたら、教室に足を踏み入れた綾乃ちゃんがクルッとこちらを振り返ってくれました。


「綾乃ちゃ…」


声をかけようとした私を一瞬見た綾乃ちゃん。

その直後にその大きな目が、これでもかとばかりに見開かれました。


「?」


不思議に思って綾乃ちゃんの目をもう一度見つめると、その視線は私を通り越して後ろを見ているように見えます。

綾乃ちゃんの視線の先が気になったので、私も後ろを振り返ってみました。


トンッ!


振り返ったところに誰かが立っていたみたいで、思い切り顔をぶつけてしまいました。


「す、すみません!」


思わずぶつけた鼻をさすりながら謝りました。


でも、、、

私の身長で顔面を強打できる胸板の持ち主というのも、そうたくさんいないかと…。


次第に早くなる心拍数を感じながら、恐る恐る顔を上げてみました。


ひぃぃ〜


私の心が歪んでいるのでしょうか!?

でも、どう見ても黒い笑顔にしか見えないです!

綺麗な顔に綺麗な笑顔を浮かべた高村くんでした。



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