拗らせDKの偏った溺愛



「困ってたら助けてあげるっていうのは、ひったくりのターゲットにしたことと、メガネを壊したことへのお返し」


「お、おう…」


「で、毎日お昼ご飯買いに行かせてる分は…こーゆう、女の子が喜びそうなものをプレゼントしてお返ししようか?」


無駄にキラキラした笑顔を俺に向けながら貴紀が指差した先にあったもの…。

それが、美咲の手に乗せたキャンディだ。


「はっ!?なんで俺がアイツにコレを買わなきゃなんねーんだよ!!」


っていう俺の抵抗をガン無視した貴紀は、サッサと目的のものを手に取ると、そのまま俺をレジまで引きずって行った。


レジでは生暖かい目をした店員が待っていて、俺たち二人をニコニコと無言で見ていた。


クッソ〜!!!

また貴紀に嵌められた!!!!!


1秒でも早く店を出たかった俺は、大急ぎで会計を済ませた。


商品を手にして大股で店の出口に向かう俺の背中に、店員の


「ありがとうございました〜、またのお越しをお待ちしておりますぅ」


というセリフが降りかかってきたせいで、怒りなのか羞恥なのかわからない熱が顔にこみ上げた。


だから、美咲の手にあのキャンディを乗せたとき、対応が素っ気なくなったことは仕方がねぇだろ?


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