クリスマスイヴを後輩と
クリスマスイヴ

今年もまたこの季節がやってきた。キラキラ輝く飾りつけにライトアップされた…、クリスマス……っぽい商店街の福引き大会!

この街で一人暮らしをはじめて三年。まだ当たったことのない特別賞。

夢見るそれは、長野温泉 おひとりさま宿泊券。

今の私にぴったりの賞である。

来月、三十歳になるこの身体は、崩壊寸前。

営業職の足は、もう誰にも見せられないと思うくらいごつごつしていて、それをストッキングで隠している。

「最近、エステにも通えてないし」

休日に履くヒールは好きだけど、仕事で履いているヒールがもたらすダメージは大きい。

大学生の頃のような、ただ細いだけの足では、仕事やプライベートを支えきれないのだ。


温泉旅行も『おひとりさま』であることが心のしこりとなり、予約を躊躇うようになっていた。

だから、既に『おひとりさま』と書かれているこの特別賞がとても魅力的で。

なんだろう。この気持ち。
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