こんな男に誰がした!
パーティーでは、今まで無視してきた人たちと、交流を深めて行かなければならない。
弥生は、誰とでも分け隔てなく対応しており、彼女の魅力が充分に発揮されていた。
やはり、こういった場での弥生の笑顔は、最強である。
両家の結びつきが強まったように言われたが、俺たちは、余り重要視していない。大事なのは、二人の気持ちの結びつきだと考えている。
「来年の今頃は、結婚式だね。」
俺が感慨深げに言うと、
「きっと、1年なんて、あっという間よ。」
「俺は、待ち遠しいよ。」
「私も。」
そろそろ終わりかけた時、俺の携帯がなった。
画面を見ると、さやかさんからだった。
「ちょっと出てくるな。」
俺は、弥生に断ると、廊下に出て、携帯に答えた。
「もしもし、さやかさん?」
「ごめんなさい、忙しいのに。一言、おめでとうを言いたかったから。」
「うん、ありがとう。体の具合いは、どう?」
「大丈夫だよ。心配しないで。」
「じゃあ、仕事頑張って。」
「頑張るよ。あなたもね。」
「じゃあ。」
俺は、携帯を切った。
さやかさんの寂しそうな声が、気になった。
会場に戻ると、弥生の回りには若い男性が、四人群がっていた。
「失礼。僕の弥生を返してもらっていいかな?」
「これはこれは、本日の主役登場だ。」
「こんなに素敵な婚約者を一人にしておいて、心配じゃない?」
「誰もが狙っていたのに、いつの間にか独り占めして、浩輝くんは、上手くやったな。」
「弥生さん、いつでも待ってるから。」
と、勝手なことを並べ立てて、散って行った。
「彼らと、交流は、あったの?」
「パーティーで、何度か会った程度よ。」
「今度は、目を放さないようにしなきゃな。」
嬉しいけど、疲れるパーティーだった。