もう一度出会えたら
昔と同じことを繰り返している今の自分。


その事実に更に大きなため息が出た。


自分の事なのに、記憶が無くて頭の中が整理出来ない。


しかもまだ相手のテリトリーにいるせいで気持ちも落ち着かなかった。


とにかくマンションから出て、ここがどこなのか場所を確認しようと思ったのに…何故?


いくら酔っていたとはいえ、ここだけは来たくなかった。


目の前に飛び込んできたこの街の景色は、まだ何も知らない幸せだった頃の私が何度も通った街だった。


せめて、知らない街なら良かったのに。


心の奥にしまったはずの、まだ決して古くない傷口が疼き始めた。
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