もう一度出会えたら
動き出した電車の音で大翔が何を呟いたのか聞き取れなかった。


『…別に』


そう言った大翔と駅を出て二人並んで歩いて行く。


大翔が連れてきてくれたお店は駅からすぐの所にある創作居酒屋店だった。


店内に入ってすぐ飛び込んできたのは七福神の中にいそうな位人の良さそうな笑顔の大将で、内装も和風モダンでとてもお洒落で落ち着いている。


案内された個室も隠れ家的な雰囲気があってとても素敵だった。


「素敵なお店だね」


それを聞いた大翔は嬉しそうに


『ここ前に友達と初めて来たんだけど肝心の料理の方も凄く美味しいから』


「そうなんだ。超楽しみ」


掘りごたつ風になった机の正面に座る大翔がメニューを広げながら


『とりあえず乾杯の飲み物な』


と言って私の好きなカクテルの書かれたメニューを見せてくれた。


「じゃあカシスソーダで」


『俺はまず生ビールだな』


そう言って店員さんを呼んだ大翔が飲み物を注文してくれた。
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