もう一度出会えたら
二人きりにされてしまうと今まで普通に話せていたのが嘘のように話せなくなった…。


まるで二人の間に見えない壁でもあるかのように。


急に黙り込んだ私に彼は今どう思っているのだろうか?


この1ヶ月会いたいのに会えなかった。


その間、彼にどう思われているのかも、自分の思いも未来すら見えなくて不安で不安でたまらない時間を過ごしていた。


そして、今はすぐ隣にその彼がいるのに何を言えばいいのか言葉に迷う。


こんなふうに考えてしまっているのはきっと自分だけで彼にとってはどうでもいい事なのかもしれない….と思うと虚しくなってくる。


「お…そいね、沙羅、悟くんもう着くのかな?」


沙羅が出てった入り口付近に目を向けそう言った時私の指先に温かい彼の指先が触れ、そのまま手を包み込まれた。


1ヶ月前のあの日もこうして彼にカウンターの下で手を握られた事から始まった。


『会いたかったです』


え…今何て?突然の言葉に頭がフリーズしてしまったみたいだった。


誰が…誰に?


心の中で思った事が、そのまま声になり私の口から滑り落ちた。
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