もう一度出会えたら
右手を上げて元気よく返事をしている蓮を優しく見つめて


『そっか〜えらかったね。いい子いい子♪』


波瑠ちゃんが蓮をギュッと抱きしめる。


2人を見てると子供っていいなぁって素直に思う。


顔も知らない…あの人の子供も蓮くらいの歳だろうか?


あの時少しだけ聞いた男の子の声を思い出してしまった。


「蓮、本当に賢かったよ。混んでても全然ぐずらなかったし」


『菜々は?会社の方は大丈夫だった?』


「それは全く大丈夫だよ、気にしないで。締め日も終わった後だしタイミング良く暇な時期だったから」


『そっか』


「あとね、大夢君もここまで様子見に来てくれたんだよ。」


『そうなの?菜々の携帯に最初かけてつながらなかったからヒロにもかけたんだよね。それで後でかかってきてさ。
なんだかんだ言ってヒロの場合は菜々に会うのが目的なんだよ。あいつは病的なシスコンだからね。いくつになっても菜々の事が可愛くて仕方ないみたいだよ。あれは父親よりうるさそうだよね〜』


波瑠ちゃんが人ごとのように笑いながら恐ろしい事をサラッと言った。








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