聖なる夜に~涙はそっと絡め取られて~


時間を少し遡ります。

あたしたちは、ホテルのフレンチレストランで食事を終え、部屋に入った。

照明が落とされた部屋、窓の向こうは、あたしが見たかった夜景が広がっている。

一つひとつはただの電球なのに、どうしてこんなに集まると綺麗なのかな。

「ねぇ、雄大。すごいよ、夜景」

「……ああ」

「床に散りばめられた星屑みたい」

「……ふぅん」

あたしは振り返り、窓から視線を雄大に移す。
雄大の返事があまりにつまらなそうだったから。

男性って夜景とか興味ないのかな。
そう思い、話題を変えた。

「さっきのレストラン、よかったね」

普段、仕事で忙しいと、どうしても食事は手っ取り早く食べられるもので済ませてしまうから。
あんなにゆっくりと味わって食べられるのは、随分久しぶりだ。

連れてきてくれてありがとうの意味も込めて言ったのに。

「そうか?」

返ってきた言葉は、更に棘があった。

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