Sだけじゃ、たりない。
「ちょっと、痛いなぁ〜、もう!」

正直、洋介はうちの高校ではモテる。幼なじみである私ですら、こいつのことをカッコイイと感じる時がある。


「よっし!校門まで勝負な!先に着いた方がジュース奢りだから〜」


そういうと、洋介は自転車に乗った。

洋介なんか私の家よりも高校近いんだから、徒歩通学でもいいのに…どうしてチャリ通学なんだろう。

そんなことを考えながら、ペダル目掛けて思い切り力を入れた。


「嘘だろ…俺が負けるなんて」


この世が終わったかのような顔をしている洋介。


「当たり前じゃん、毎朝心臓破りの坂を登っている私に勝とうなんて100年早い〜」


「仕方ねえ、約束通りジュース奢るわ」


そんな他愛もない会話をしながら、教室へ向かう。

二学期の初日だからか、教室はとてもざわめいていた。


「あ、奈々と洋介じゃん、おはよ〜」


「おはよ!」


「はよ〜っす」


みんなが次々に私たちに挨拶をしてくる。

私たちのクラスは、男女共に仲良しで、すごくいい雰囲気のクラスだ。
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