私の王子様はあなただけ
「やっぱりローストチキンは、外せないわよね。」


開店前、列に並ぶお母さんは、ワクワクして色々と話しかけてくる。今日はお母さんも少しオシャレ。


私もビュッフェと言えども、高級ホテル。それに尚且つ、クリスマスイヴ。少しいつもよりオシャレをして、白いニットワンピースにコート姿。

朝から仕事に出て行った篤にこの姿は見せられなかったけれど帰ってきたら、この格好を見せてやる。こんな可愛い姿で誰と会っていたんだろうとモヤモヤすればいい。


仕事なのは仕方ないけれど、あんな言い方しなくても。帰ってクリスマスしようなくらい言えばいいのに。


篤とは付き合って、三年。同棲してもうすぐ一年になる。工場勤務の篤と保育士の私。出会いは友人の紹介から。篤はどちらかというと少し、強面でぶっきらぼうな口調。


最初は少し、怖いと思う印象だったけれど、距離が近づくようになり、子どもが大好きなところや動物が大好きなところに可愛い笑顔。


怖いどころか、会うたびに一つずつ好きなところが増えていった。多分、篤が思うよりずっと私のほうが篤を好きなはず。
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