黒猫の香音(後編)
「…そうかい…

…まさかあの子が其処迄追い詰めていたなんて…

今迄気付きもしなかったのかい…


親ならもう少し子供の気持ちに寄り添ってやるべきだったってのに…母親失格だね、私。」


すっかり落ち込んだ様子の美月に瑠華は一旦陽から離れ、ゆっくり歩み寄った。


「でも正直言ってアイツも、アイツの旦那も、そして俺も…


人間として失格だと思ってるよ、何もおばさんだけが悪い訳じゃない。」



慰める瑠華に対し美月は少しずつ今迄遭ってきた事柄を少しずつ説明しだした。



「…四年前ー


山中達が樹海に"掃除"しに来た時だった。




ちょうど引き上げようと車に向かう途中、静かな樹海から不自然に男の声と子供の声が聞こえたらしいんだ。




声を頼りにその場に向かったら其処には…





何故かあの"紫吹謙四郎"が陽に銃口を向けている最中だったと…ー」





「なっ!?あの紫吹がか

!!?



寄りによってあの野郎…陽に銃口なんざ向けやがって…!」





美月の言葉を聞くなり瑠華は憤りを感じた。
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