彼女は期待しない
特別な日
取材から発売までの日々は仕事に追われ、休む暇もないくらいだった。

ようやく仕事がひと段落したある日、高梨くんから打ち上げのお誘いがかかった。


「場所は後で連絡するから。めいっぱいオシャレしてきてよ」


…めいっぱいオシャレって。

冗談めかして言う彼にふふっ、と笑ってOKの返事をすると高梨くんは嬉しそうに笑って仕事に戻っていった。


そして終業後。
まだ少し仕事が残っていた私は先に高梨くんに打ち上げに行ってもらうようにお願いした。

私ひとりのために他の人を待たせてしまうのは申し訳ないから、先に始めていてもらおうと思ったからだ。


「ごめんね。あと30分したら行くから」


「わかった。でも、絶対来て。場所はここだから」


高梨くんは小さなカードを私の机に置くとオフィスを後にした。

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